目次
社労士の平均年収
社会保険労務士(社労士)の年収について、開業社労士と勤務社労士の両方の観点から説明します。
開業社労士の平均年収
開業社労士は、自らの事務所を開設して独立して業務を行う社労士です。このタイプの社労士が多数を占めており、多くは独立開業を目指して資格を取得しています。開業社労士の年収は大きくバラつきがあり、300万円から1,000万円以上まで幅広いですが、平均的には400万円から500万円程度とされています。この収入は、顧客数や業務の種類、事務所の規模などによって大きく変わる可能性があります。
勤務社労士の平均年収
勤務社労士は、民間企業や公的機関に雇用されて労務関連の業務を行う社労士です。彼らは通常、労務部門で働き、必要に応じて社労士としての専門的な業務を行います。勤務社労士の平均年収は600万円から700万円程度とされており、一般の会社員よりも高い収入が期待されます。
これらの情報を踏まえると、社労士の年収は勤務形態によって大きく異なります。開業社労士は事業の成功によって収入が大きく変動し、勤務社労士は安定した収入を得ることができますが、その代わりに収入の上限も決まっています。どちらの道を選ぶかは、個々のライフスタイルやキャリアプランによって異なります。
年齢別で異なる社労士の年収
社労士の年収と年齢の関係
社労士としてのキャリアは、実務経験に大きく依存します。年齢が上がるにつれて、労務管理に関する専門知識と経験が増えるため、年収にも差が出るのは自然なことです。
社労士としての働き始める年齢
一般的には、社労士として働き始めるのは30代半ばからが多いとされています。以下に、年齢別の社労士の年収を示します。
年齢 | 月収 | 年収(賞与等含む) |
---|---|---|
35歳未満 | 41万円 | 670万円 |
40歳未満 | 30万円 | 940万円 |
45歳未満 | 35万円 | 700万円 |
50歳未満 | 39万円 | 760万円 |
65歳未満 | 58万円 | 1,380万円 |
70歳以上 | 25万円 | 450万円 |
※このデータは厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査」に基づいています。
この表から、経験値を重ねることにより年収が大幅に上昇することが明らかになります。特に、中高年齢層では年収が大きく増加していることが確認できます。
地域別で異なる社労士の年収
社労士の年収における地域差
社労士は民間企業を相手にする仕事で、都市部では会社の数が多いため、地方よりも多くの仕事をこなせる傾向があります。これにより、年収にも地域差が生じます。以下に、地域別の社労士の平均年収と地域最高額を示した表を掲載します。
地域名 | 平均年収 | 地域最高額の都道府県 |
---|---|---|
北海道/東北地方 | 530万円~600万円台 | 宮城県:670万円 |
北関東地方 | 670万円台 | ― |
首都圏(1都3県) | 700万円台 | 東京都:930万円台 |
近畿/中国地方 | 670万円台 | 大阪府:800万円台 |
九州地方 | 500万円~600万円台 | 福岡県:670万円台 |
この表から分かるように、関東地方では東京都、近畿地方では大阪府が特に高い年収を示しています。これは、これらの地域の経済活動が盛んであることを反映しています。
女性でも高収入が可能な社労士の仕事
社労士業界における女性の比率
一般的な士業には男性が多いというイメージがあるかもしれませんが、社労士は他の士業に比べて女性の比率が高い特徴を持っています。実際、試験の合格者を見ても、社労士の女性比率は他の士業よりも約10%高く、女性に人気のある資格であることが分かります。
女性の年収に関するデータ
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、女性の年収が男性よりも高い年が存在します。これは、社労士が一般企業からの需要が高い職業であり、勤務型として長く働くことが可能であることが一因です。
社労士としての女性のキャリア
社労士資格を持つ女性の中で、将来的に独立開業を目指す人は比較的少ない傾向にあります。勤務型を選ぶ理由としては、復帰のしやすさや安定性だけでなく、女性に適した仕事内容が挙げられます。
女性に適した社労士の業務
社労士の資格があれば、産休や育休後の復職が容易で、業務内容も書類作成や計算、社会保険手続きなど、緻密さと正確さが求められるものです。これらは女性に向いていると考えられます。また、「相談・指導」の業務では女性ならではの気配りや対応能力が求められることが多く、女性社労士の需要は高まっています。
社労士業界における女性の関心
労働法や社会保険に関する知識について、女性は一般的に高い関心を持っています。この背景から、社労士を目指す女性が増え続けていると言えます。
【参考リンク】厚生労働省 賃金構造基本統計調査
社労士の年収を上げるためのポイント
社労士として年収を向上させるためには、以下のような行動を取ることが効果的です。
大手企業への転職
大手企業の人事や労務部門では、高い給与が期待できます。中小企業に比べて大企業では平均年収が高く、優秀な人材を維持するためにも給与水準を高めに設定しています。大企業で活躍すれば、役員への昇格も可能で、年収はさらに上昇する可能性があります。
独立して開業する
独立開業は、報酬の全額が自分の収入になるため、収入向上の大きなチャンスです。企業勤務の場合、案件ごとの報酬が限られていますが、独立すれば自分の得意分野に特化し、より高い報酬を得ることが可能です。
自己ブランディングによる差別化
社労士の資格に加えて、独自のスキルや能力を活かして差別化することも重要です。例えば、SNSを利用してフォロワーを増やし、自分の専門性をアピールすることで、案件の獲得が容易になります。また、社労士以外の業務や外部役員としての活動を通じて、収入や地位の向上を目指すこともできます。
これらの要点を活用することで、社労士としてのキャリアと収入を大きく向上させることが可能です。自分の強みやスキルを活かしながら、適切なキャリア戦略を立てることが重要です。